二風谷アットゥシ

受け継がれた
技術が織りなす
一枚の布

アットゥシとは、オヒョウ等の樹皮の内皮からつくった糸を用いて機織りされた反物で、それらの中でも平取町二風谷エリアで継承されている伝統的な技法で作られた「二風谷アットゥシ」は伝統的工芸品に指定されています。

通気性に優れ、水に強くて丈夫なため、江戸時代には本州との重要な交易品とされ、明治時代にも沙流川流域の優れた産物として知られていました。

途方もない時間と労力をかけて織り上げるもので、二風谷にはいまも原料となる樹皮を山から調達し、百年前と同じ様式の織り機で工芸家により継承されています。

天然素材ならではの風合いが魅力で、現在では伝統的なアイヌの衣服のほか、和服の帯や財布、コースターなどがつくられています。

製造工程

幹に切れ目を入れ、下から上に剝ぐ
作業は水分を多く含んだ梅雨明けが最適で、立木を倒して行うことも多い

糸にする内皮（靭皮）を取り出すために、外の荒皮をていねいに剝がしていく

樹皮を柔らかくするために、灰汁等を加えて窯で数時間煮る
沼や温泉等に一週間程度漬ける方法もある

滑りを取るために、川等で洗って内皮を綺麗にする

何層にもなる内皮を、揉むようにして薄く剥がしていく

指先を使って内皮を一定の細さに裂いて撚りをかけながら糸にし、結び目が目立たないように機結びで糸を繋ぐ

糸玉から糸をのばし、数メートル離れた棒に回しかけ、もう一方を織り機に通していく
この段階でタテに入る色や柄が決まる

綿糸で下糸を順番にすくい上げ、糸を掛ける棒に八の字のように掛ける

糸を掛ける棒によって上下に分けた縦糸の間に横糸を通す
横糸を通すごとに縦糸も上下させペラ（へら）で締める

完成した反物及びそれらで作られた着物や帯等をアットゥシという
糸は生成りのまま又は草木染め