藤田 由貴(ふじた・ゆき)
アットゥシ織り作家 2024年~
1991年北海道沙流郡平取町二風谷生まれ。アットゥシ織りの職人である祖母、貝澤雪子氏の織りを見て育つ。幼い頃からアイヌ料理などとともに、アットゥシ織りに使う糸づくりや、アットゥシの素材でつくるブレスレット、カエカを学んできた。令和元年に母が亡くなり、祖母のアットゥシ織りをいちばん近くで学ぶ中で、この伝統工芸を祖母から受け継いでいこうと決意した。
主な作品は、アットゥシを素材にした日本の着物の帯(八寸帯)や、オヒョウの糸をよったカエカのブレスレット、ネックレス、ストラップ。織りとともに、アットゥシの糸を染める草木染めも貝澤雪子氏に習っている。染料のもととなる様々な草木の材料は、祖母と共に山から採取している。1種類の草木につき、採取から染めるところまでが1日仕事であり時間も根気も必要な作業だ。
作品づくりで大切にしていることは、自然の素材を自然の染料で染めること。染色に化学染料は一切使わない。自然の素材で染めたアットゥシは、日が経つにつれて良い色に馴染むのが魅力。クルミ、ヨモギ、蘇芳(すおう)やロッグウッドなど、様々な素材を染料として使う。樹皮からつくるアットゥシは、木綿とは染まり方が違うので、それぞれの素材で実験が必要。祖母が染めたことが無いような身近で名も知らない野草を含め、染料となる自然の草木と媒染の組み合わせを変えるなど、日々研究に余念がない。
二風谷の伝統的工芸品の一つ「二風谷アットゥシ」。この昔から受け継がれるものを祖母から教わり、今後、二風谷に残していきたいと考えている。
二風谷民芸組合所属。
●北海道アイヌ伝統工芸展(公益社団法人北海道アイヌ協会)
2024年度 一般工芸品部門 優秀賞(北海道議会議長賞)「八寸帯(アットゥシ織り)」
雪子の店
北海道沙流郡平取町二風谷76-7
連絡先:090-6217-8449(katak×bee)