貝澤 美和子(かいざわ・みわこ)

エムアッ編み・刺繍作家 2014年~

1948年熊本県生まれ。大学時代は東京で過ごし、武蔵野美術大学に在学中、北海道旅行の際に二風谷を訪れた。二風谷を再訪して貝澤耕一氏と出会い、1970年に結婚。その後、アイヌ工芸や文様について学び、特にエムアッ(刀下げ紐)は萱野れい子氏、ゴザは貝澤トメ氏に師事した。育児と農場の仕事を続け、2004年から2010年までは平取町役場ウタリ対策室にも勤務、その間もアイヌ工芸の研究と製作を続けていた。

主な作品は、チカペやカパラミといった着物、サラニ(※1)やエムアッといった編み物。「沙流川の刺繍から逸脱しない」ことを最優先に作品づくりにあたり、伝統的な文様の刺繍は先人たちの作品から学んできたが、最近は古典と共に、独自に描いた文様も用いて創作をしている。

工芸品のほか、食文化を若者や地域外の人に教えることもある。二風谷に伝わるアイヌの伝統文化は移住後に自然と身につき、二風谷での暮らしの中で当たり前のこととして受け継いできただけ、それを人に伝えられるなら嬉しい、と語る。二風谷は山に入ると山菜もあり、自然の恵みがある。それを使って暮らせるのは幸せなことと感じている。

※1 サラニ 樹皮の糸で編んだ袋、ショルダーバッグ

北海道アイヌ民芸品コンクール(社団法人北海道ウタリ協会 ※)
1995年度 伝統工芸品の部門 最優秀賞(北海道知事賞)

北海道アイヌ伝統工芸展(公益社団法人北海道アイヌ協会 ※)
1995年度 優秀賞(北海道教育委員会教育長賞)
2009年度 最優秀賞(北海道知事賞)
2020年度 伝統工芸品部門 優秀賞(かでる賞)(チカペ)
※社団法人北海道ウタリ協会は、2009年に社団法人北海道アイヌ協会に名称変更、社団法人北海道アイヌ協会は、2014年に公益社団法人北海道アイヌ協会に移行

アイヌ工芸作品コンテスト(公益財団法人アイヌ民族文化財団)
2018年度 アイヌに関する一般作品部門 優秀賞「サラニ(背負い袋)」
2022年度 織物・編み物・刺しゅうの伝統的作品部門 優秀賞「エムアッ/刀さげひも」

2019年 公益財団法人アイヌ民族文化財団 アイヌ文化奨励賞