貝澤 徹(かいざわ・とおる)
木彫作家 1976年~
1958年北海道沙流郡平取町二風谷生まれ。工芸家の父、故・貝澤勉氏やその仲間の職人に囲まれ、弟である木彫作家の故・貝澤幸司氏とともに育つ。明治時代にいた2人の名工のうちの1人、貝澤ウトレントク氏は曽祖父にあたる。
早くから木彫を学び、高校を卒業した頃から父が営む民芸店で作品を販売していた。当時は動物の立体彫りを主に手掛け、30代に入りイタ(木製の盆)を製作するようになった。
イタやマキリ(小刀)といった伝統的な民具を製作する傍ら、工芸技術を活かした独創的な木彫作品を生み出している。
2001年から、木彫でありながら布のような表現が特徴的で、装飾品としての魅力も兼ね備えた「樹布」シリーズの製作を開始。その後、現代に生きるアイヌを表現した作品「IDENTITY(アイデンティティ)」シリーズや、ウポポを輪唱する多世代のアイヌ女性の手を用いて、時代が変化してもアイヌの伝統が続いてほしいという願いを表現した作品「UKOUK(ウコウク)/輪唱」を発表した。
アイヌ文化を発信する空間minapa(ミナパ)(札幌市中央区)ではシマフクロウの作品「IWOR-UN-PASE-KAMUY(イォルン パセ カムイ)」、国立アイヌ民族博物館(白老郡白老町)では「アペフチカムイ」が展示されている。
また、海外では大英博物館、スコットランド国立博物館、オックスフォード大学ピットリバース博物館にも作品が常設展示されるなど、国内外で高い評価を得ている。
地元・二風谷での伝統文化の発展、継承にも貢献。担い手育成の講師を務める他、「二風谷アイヌクラフト」のコラボ商品開発プロジェクト(2020年)に参画。また同年の札幌観光バス運行「セタプクサ号」ではラッピングデザインを担当。
「北の工房 つとむ」店主。二風谷民芸組合所属、伝統的工芸品「二風谷イタ」のつくり手の一人。
2005年 社団法人北海道ウタリ協会推薦 優秀工芸師 認定
2008年 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構 伝統工芸家 認定
●北海道アイヌ伝統工芸展(公益社団法人北海道アイヌ協会)
1979年 初出展 初受賞
1989、2002、2005年度 伝統工芸品部門 最優秀賞(北海道知事賞)
●アイヌ工芸作品コンテスト(公益財団法人アイヌ民族文化財団)
2004年度 優秀賞(アイヌに関する一般作品部門)(捕獲蛙&ネズミ)
2006年度 入選(アイヌに関する一般作品部門)(木布イタ)
2007年度 優秀賞(木工芸の伝統的作品部門)(メノコマキリ)
ほか受賞多数
2020年 文化庁長官表彰
※社団法人北海道ウタリ協会は、2009(平成21)年に社団法人北海道アイヌ協会に名称変更、社団法人北海道アイヌ協会は、2014(平成26)年に公益社団法人北海道アイヌ協会に移行
※財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構は、2013(平成25)年に公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構に移行、公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構は、2018(平成30)年に公益財団法人アイヌ民族文化財団に改組
北の工房 つとむ
〒055-0101 北海道沙流郡平取町二風谷74-12
TEL: 01457-2-3660