二風谷イタ 二風谷アットゥ 刺繍 民具 祭具
刺繍

刺繍はかつて女性の手仕事として木彫とは異なるアイヌ文様の表現として大切に伝えられてきました。
その技法は19世紀以降に木綿の布や糸が流通し始めたことで発展し、モレウノカを中心とする複雑で優美な文様が施されるようになったといわれています。
これは、テープ状に切った黒や紺の布を縫い付けた文様に、さらに上からそれら複数の文様にまたがって一筆書きのように刺繍を施す伝統的な衣服「チカラカラペ」に見ることができます。
他にも、「アットゥシアミプ」「カパラミプ」などさまざまな種類の衣服が見られるほか、髪をまとめる鉢巻き「マタンプシ」などの布小物にも刺繍され、特に男性用の持ち物に華麗なデザインが目立ちます。これは、女性が刺繍をする際、男性が無事に帰るよう祈りを込めてつくるためだと考えられています。

またアイヌ文化には、開いているところから魔物が体に入ってくるという考え方があり、袖口や裾、背中等に入れた刺繍の文様が魔除けの意味を持つともされています。